再生医療等安全性確保法違反事案について
既に皆様、報道などでご存知とは思いますが、再生医療等安全性確保法違反の事例が発覚して本年5月、及び、6月に厚生労働省は以下の3件の再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく治療等の一時停止命令を出しました。
① 5月8日、東京都内のクリニックに対し、再生医療等提供計画を提出せず第二種再生医療等を提供していたことにより、再生医療等の提供の一時停止命令。
②5月8日~6月8日に、国内12ヶ所の医療機関に対し、第一種再生医療等提供計画を提出せず他人の臍帯血を用いた第一種再生医療等を提供していたことにより、当該再生医療等の提供の一時停止命令。 ※8月27日、臍帯血をクリニックに販売した業者や実際に治療にあたった医師ら計6人が再生医療安全性確保法違反容で 逮捕。
③6月9日、東京都内の細胞培養施設に対し、特定細胞加工物の製造の許可を得ることなく特定細胞加工物の製造を行っていたことにより、特定細胞加工物の製造の一時停止命令。併せて、当該施設において製造された特定細胞加工物を患者に提供していた全国の18医療機関に対し、患者の健康被害の発生状況等の報告を求めた。
これらの事案は、全て「再生医療等の安全性の確保等に関する法律違反」を問われたものです。
同法は平成26年11月に施行された再生医療等の安全な提供等を図るため、再生医療等を提供しようとする者が講ずべき措置を明らかにするとともに、人の生命及び健康に与える影響の程度に応じて分類された再生医療等の提供に係る手続きや適正な提供のための措置、更には特定細胞加工物の製造の許可等の制度等を定めた法律です。
当研究会は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(同法及び関連する法律はこちらをクリックしてください)の施行にあたって、この法律が「免疫細胞治療の健全な発展と普及、並びに、研究の促進を図る」という当研究会の目的に資するものであるとの認識から、会員に対し、同法の趣旨、運用等に関する厚生労働省からの通知等を会員に発信するなど、同法の理解促進、定着のための活動を行ってまいりました。
そのような中、今回発生した再生医療等安全性確保法違反は免疫細胞治療の健全な発展と普及を阻害するだけでなく、免疫細胞治療に対する国民の不信を招きかねない重大な問題と捉え、再度、会員に向けた同法の理解促進のための情報提供等を行っていく所存です。
また、会員各位におかれましても、今回の事案を他山の石として、今一度同法をご確認下さいますようにお願いいたします。
一般社団法人 日本免疫治療学研究会 理事会