がんは、1981年以来日本人の死亡原因の第1位となり、いまや3.3人に1人ががんで亡くなっています。最近では、がん診断、治療法の進歩により、以前に比べて「早期発見による対応」等で、随分治るようになってきました。しかし、進行した病状で発見される、あるいは早期に発見されてもその後再発を繰り返した場合などは依然として治療は困難な場合が多く、全体的にがんで亡くなる方が減ってはいません。また、副作用を伴う治療に苦しむ患者さんが多数おられることも事実です。
がんが進行し、十分な治癒が期待できなくなった時には、強い副作用を伴う治療で、がんの一時的な縮小をはかるよりも、必ずしも治癒を目的としなくても、生活の質(QOL)の高い状態を保ちつつ、出来るだけ長生きすることを目標にすることも一つの選択だと思われます。現にそのような治療法を望まれる患者さんやご家族が増えてきています。
そのような中で、免疫療法のひとつである「免疫細胞療法」が注目を浴びています。これは免疫細胞を体外で培養・加工し、これを用いてがんの進行を抑え込む治療法です。これまでは、手術、抗がん剤治療、放射線療法が、がんの3つの治療法と言われていますが、免疫細胞療法は、第四の選択肢となる治療法です。他の治療法と上手に組み合わせて行うことも重要です。
たとえば、切除可能ながんに対しては、手術療法が最も優先されるべき治療となります。手術で体の中にあるがんの量を一挙に減少させて、がんの力と体の抵抗力のバランスを抵抗力の方に傾けさせた上で、更に抵抗力を高める強力な免疫細胞療法を行って、手術後の再発を防止する事が、もっとも有効な治療法になると思われます。
患者さんの細胞の一部を体外に取り出して培養し、増殖させたり特別の機能を持たせたりした上で、患者さんの体にもどすことによって治療を行う方法を、全体として細胞療法と呼んでいます。免疫細胞療法もその一つです。強い薬剤を用いて免疫細胞を活性化する場が体外であるため、患者さんは副作用を受けることがなく、患者さんを苦しめることのない画期的な治療法です。これは最近の細胞生物学等の進歩によって、初めて可能になった分野であり、21世紀の治療の一つの柱になることが期待されています。
このたびの講演会は、免疫細胞療法についての現状と将来の展望、生活の質からみたがん治療などについて、研究と治療の現場から、ご専門の先生方にお話をしていただきます。
主催 |
日本免疫治療学研究会
中国新聞社 |
後援 |
山陽新聞社
難病治療開発を支援する会(NPO) |
協賛 |
高橋メディカルクリニック
有限会社積善会
株式会社メディネット |
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